33年の時間を巻き戻し天文少年ならぬ天文壮年へ再入門。隊員1名、200mm、65mmの望遠鏡と双眼鏡で星空を楽しんでいます!
宇宙誕生は「大爆発/ビックバン」ではなかった?
2017-02-15 Wed 00:00
・宇宙誕生の謎、有力仮説覆す 京大理学部20人卒業研究
・宇宙誕生は「大爆発/ビックバン」ではなかった可能性も考えられる
・ビッグバン元素合成研究に残る最後の重要核反応確率を初測定

宇宙は膨張していないとか、重力もダークマターも実在しないとか、科学の常識のように思われている部分に突撃するような話題が目白押しで、閉塞感を感じている暇もないのはいいことだ。
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ダークマターがエーテル的存在になるかもしれない
2017-02-11 Sat 00:00
・「重力もダークマターも実在しない。幻想である」物理学者が宇宙の定義を完全に覆す理論を提唱!
 エーテルの存在を仮定しなくても光の伝搬を説明できるようになったように、ダークマターを仮定しなくても重力現象を説明できるようになるのは、自然界認識にとっては良い方向なのではないだろうか。
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「反物質」の励起状態を測定できたらしい
2016-12-22 Thu 00:00
・「反物質」測定に成功、宇宙解明に向け第一歩
・「反物質」の謎、解明へ一歩 東大など実験成功
 今日時点ではどの新聞もほとんど同じニュースを報じているだけで詳しい解説は明日以降になりそうだが、ざっと以下のような成果が出たということのようだ。
 (1)反水素原子を磁場内で保存できたこと、(2)その反水素原子にレーザー光を当ていわゆる励起状態を作ることに初めて成功したこと、(3)このときに必要な光の周波数(エネルギー)が普通の水素原子と同じであることがわかったこと、これらがこの実験の成果になるのだろう。今後は、測定精度を上げて、水素と反水素でエネルギー状態を変えるのに必要な光の周波数の僅かな違いを見つけたいということらしい。
 ところで、読売の記事にある添付図はいったい何を説明したいのか意味不明。

1612211.jpgCERNのALPHA実験の成果についての広報ページは以下[写真も]。
CERN:ALPHA observes light spectrum of antimatter for first time
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私の人生に『フィネガンズ・ウェイク』のための時間は残念ながらない
2016-12-19 Mon 00:00
1612161.jpg『抄訳 フィネガンズ・ウェイク』 ジェイムズ・ジョイス
     宮田恭子編訳 集英社 2004年 4000円

素粒子のクォークという名称は、クォークモデルの提唱者マレー・ゲルマンにより、ジェイムズ・ジョイスの小説『フィネガンズ・ウェイク』中のカモメの鳴き声 "Three quarks for Muster Mark" から命名されたと言われている。『フィネガンズ・ウェイク』は難解な小説らしいが、どの様なコンテクストの中でクォークが登場するのか知りたくて、お試しに抄訳本で読んでみることにしてこの本を入手したのだが、、、。

ゲルマンほどの天才であればこの小説が面白く感じられ、読み進める中でクォークの場面に出会うということもあるかもしれない。でも案外、読み進められなくてヤケクソでパッと本を開いたらたまたまそのページが現れた、というのが真相だったりして。ともかく読んで分かった事は、今の自分には「人生にこの本を読んでいる時間は残念ながらない」と言わざるをえないくらい意味不明な内容の本ということだけだ。

とは言ってみたものの、全く意味不明などというのではあまりに悔しいので、少しだけ付き合ってみることにする。年内にもう一度、これに関する報告をして終わりにしようと思う。
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陽子の寿命が10^30年でも10^30個を見ていれば1年に1個程度は崩壊?
2016-12-08 Thu 00:00
11月20日の午後、つくばノバホールで開催された『科学と音楽の響宴2016』へ行ってきた。科学に関する講演は昨年ノーベル物理学賞を受賞された梶田隆章さんのニュートリノ実験に関するお話。音楽は相澤政宏さんのフルートと大堀晴津子さんのピアノ演奏で、フルートの興味深いエピソードを交えての楽しい演奏会だった。梶田さんの話は深遠な物理学の講義ではなく、予想外の実験結果を徹底的に調べることで、ミスによる結果ではないことを確信し、新発見への突破口を見つけた過程を難しい話は抜きにわかりやすく語ってくれた。

1611211.jpgその中で、カミオカンデはもともとは大統一理論の予言する陽子崩壊を測定する目的に作られたという話があった。陽子崩壊の観測は自分が世話になっていた超高エネルギー研究室の別の先生が研究されていたので記憶に残るテーマだ。それはそうと、「陽子の寿命は10^30年と予測されていたので、10^30個の陽子を観測すれば1年に1個程度崩壊を観測できる」について休憩時間にヨメさんから疑問が提出された。
(1)寿命が10^30年ならば10^30個を見ていたところで10^30年かかるんじゃないの?
いやいや、これは平均寿命なので、数はものすごく少ないけど短時間で死ぬのもいれば、もっと寿命の長いのもいる。数はものすごく少ないけどたくさん集めれば短期間でも1個くらいは死ぬ奴が見つかるだろうと考えられる。
(2)でも、10^30個を見ていると、1年目1個死に、2年目1個死に、、、10^30年経ったら0個になるから10^30年以上の寿命はありえないんじゃないの?
いやいや、1年目1個死に、2年目1個死に、、、と減っていくと次第に10^30個より少なくなってしまうからその頃には1年に1個のペースでは死ななくなるので10^30年を越えて生き残るのも出てくる。
(3)平均寿命100年の人間を100人集めても、1年目に1人死ぬようには思えない?
いやいや人間は若い頃死ににくくて年とるにつれて死にやすくなるから素粒子とは死に方(死ぬ確率)が違う。
とまぁ、結局納得してもらえず、おかしなモヤモヤ感の残るコンサートになったらしい。
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「科学と音楽の響宴2016」
2016-10-02 Sun 00:00
1610011.jpg高エネルギー加速器研究機構(KEK)がつくば市、つくば文化振興財団と共同で開催している「科学と音楽の響宴」のお知らせメールが届いた。2013年以来3年ぶりに行けそうなのでさっそく申し込んだ。今年の物理学講演は昨年ノーベル物理学賞を受賞した東京大学宇宙線研究所長の梶田隆章氏による「ニュートリノの質量の発見と関連研究」についてのお話し。演奏会は「フルートで奏でる星と地球」というタイトルになっている。

 →科学と音楽の響宴 2016
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ニュートリノでもCP対称性の破れか
2016-08-08 Mon 00:00
まだ、本家KEKのページには発表されていないが、東京大学宇宙線研究所プレスリリースと以下の新聞ニュースに載った。

[追記]東京大学宇宙線研究所のプレスリリース
【プレスリリース】T2K実験・ニュートリノの「CP対称性の破れ」の解明に第一歩を踏み出す

・「反物質」消滅の新証拠か 高エネ研など ニュートリノ実験で初観測

・対称性破れか 消えた反粒子の謎 国際チーム兆候確認 宇宙形成、解明に道
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ワインバーグ著『科学の発見』
2016-05-15 Sun 00:00
1605121.jpgワインバーグ=サラム理論で電磁気力と弱い力を統合させ、1979年のノーベル物理学賞を受賞したスティーブン・ワインバーグの著書『科学の発見』の話題が大栗博司氏のブログに載っていた。
 →大栗博司のブログ:科学の発見

この本、カバーにフェルメールの例の絵画『天文学者』が使われていて、これを目にするとついつい玉青さんの『天文古玩』へ足が向いてしまう。
 →天文古玩:フェルメールの「天文学者」に見える謎の図 (前編)
 →天文古玩:フェルメールの「天文学者」に見える謎の図 (後編)
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SuperKEKB加速器 ビーム周回・蓄積に成功
2016-03-06 Sun 00:00
1603042.pngつくば市にある高エネルギー加速器研究機構で5年に渡ってKEKB加速器のグレードアップが進められてきたSuperKEKB加速器で、準備運転の第一段階であるビーム周回と蓄積に成功したことについてプレス発表があったとS.Uさんからお知らせを頂いた。[右図はSuperKEKB全体図(『© KEK』)]

 →高エネルギー加速器研究機構:SuperKEKB加速器のビーム周回・蓄積成功

 →読売新聞・茨城版:大型加速器の試運転成功 高エネ研
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KEKサイエンス・カフェ
2016-01-04 Mon 00:00
1512192.jpg昨年12月の初めにKEKから「KEKサイエンス・カフェ開催のお知らせ」というメールが届いた。
 →KEKサイエンス・カフェ開催のお知らせ

12月4日(金)の平日イベントなので参加できなかったが、若手研究者による短いお話の後、参加者も含めて議論・雑談するという企画で、毎月1つの話題について毎週開催する予定らしい。まず最初の1ヶ月は2015年ノーベル物理学賞に選ばれた「ニュートリノ」研究のホットな話題で始まった。 定員約20名、飲食物持ち込み可、事前予約不要、立ち見での参加も可能ということだ。

 →KEKサイエンス・カフェ 〜素粒子ナイト〜
  ただし、この公式広報ページは日時と会場がわかるだけで、今後の予定とか過去のカフェをクリックしてもこのページ自身へリンクが貼られているだけのつまらないページ(って書いておくとそのうちに改善されるかも)。
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直径200μの美しい球体
2016-01-03 Sun 00:00
1512193.jpg少し前だが12月6日のAstronomy Picture of the Dayの写真に目が止まった。
 →Astronomy Picture of the Day 2015 December 6

宇宙塵の顕微鏡写真かと思ったがそうではないようだ。直径200μの美しい球体が電子顕微鏡に写っている。Casimir効果がなんちゃらとか、ダークエネルギーによる宇宙膨張を説明するとかかんとか、書かれている(のかな?)。

今夜の観測:今年最初の観測。U Mon5.9等。
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グローバルフォトウォーク2015 国際審査では一般投票もできるぞ!
2015-11-12 Thu 00:00
1511112.jpg8月31日に紹介したグローバルフォトウォークのKEK賞3作品が決まったという案内が来た。
 →グローバルフォトウォーク2015 KEK賞3作品決定

8カ国から3作品ずつ選ばれた24作品の中から、この後国際審査員による「グローバル大賞」と一般投票による「ピープルズ・チョイス賞」が選考されるという。
 →InterActions Physics Photowalk

一般投票による「ピープルズ・チョイス賞」のオンライン投票は下記のページで現在行われている。期間は11月9日(月)から30日(月)まで。
 →Vote Online

早速投票してみた。最優秀賞受賞者1名と一般投票者から1名をご希望の実験場へご招待、、、てなことにはならないだろうなぁ。
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ニュートリノ実験の心臓部
2015-10-29 Thu 00:57
1510281.jpg・東海村のニュートリノ実験施設も施工管理者担当
 陽子を標的に当ててニュートリノを発生させるその標的を置いてある建物を旭化成建材の改竄社員が担当したということらしい。

 それはそれとして、記事のどうでもいいところが気になる。「(「ターゲットステーション棟」は)実験の「心臓部」とも言える建物」という部分。「心臓部」って、なにが心臓に喩えられるのかね。血液を送り出すようにニュートリノを出すから?国語辞書で「心臓部」の意味を見ると「 機械や組織などを動かす中心の部分。中枢部。」とある。それならば心臓部は陽子加速器だと思うが。ほんと、どうでもいいことなのだが。
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2015年度ノーベル賞 受賞者名を聞いた第一印象
2015-10-07 Wed 00:00
2015年度のノーベル医学・生理学賞を受賞した大村智氏は抗生物質「エバーメクチン」の発見者と知り、お名前を存じ上げなかったことに恥じ入るばかり。

また、ノーベル物理学賞は東京大学・宇宙線研究所所長の梶田隆章教授が、「素粒子「ニュートリノ」が質量を持つことを示すニュートリノ振動の発見」の理由で受賞したが、ここには戸塚洋二氏もいるはずだったと、多くの関係者は感じているのではないだろうか。

[追記]昨日見つけたばかりの面白いブログで、さっそく戸塚氏のことが取り上げられていた。
 →故・戸塚洋二氏のこと>ノーベル物理学賞のニュースに
      (ブログ『重箱の隅に置けない』)
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ANTARES望遠鏡でニュートリノ検出
2015-09-08 Tue 00:00
すわっ!銀河系内超新星か?

meinekoの日記  - 趣味の天文と日々の戯れ言-:
・ニュートリノ検出
・ANTARES望遠鏡で検出されたニュートリノの件

星が好きな人のための新着情報:
・さそり座方向からニュートリノを検出…結末
・ アンタレス方向から検出されたニュートリノの発信源はM4球状星団内のミリ秒パルサーかマッシブブラックホールの可能性
・アンタレス方向からのニュートリノ検出に関連して検出されたX線源候補天体を、西はりま天文台が観測
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世界の8つの加速器研究所でフォトウォーク同時開催
2015-08-31 Mon 00:00
KEKを含む世界の8つの加速器研究所で、フォトウォークを同時開催します。
広大な研究所の敷地内で実験装置を撮影しながら、KEKの推進する最先端
の科学に触れてみませんか。
撮影いただいた作品は、世界の素粒子物理の広報担当者のネットワークで
ある「Interactions.org」のウェブサイト上でのフォトコンテストにノミ
ネートされ、全世界からの一般投票によって「グランプリ」を決定します。
また、KEKの審査員による「KEK賞」も決定します。グランプリ作品と各研
究所の大賞作品は、世界の8つの研究所で展覧会を同時開催する予定です。
[KEKイベント案内メール「グローバルフォトウォーク開催のお知らせ」から一部抜粋]
1508261.jpg

フォトウォークが同時開催される8つの加速器研究所というのは、
・欧州原子核研究機構(CERN/スイス)
・ドイツ電子シンクロトロン研究所(DESY/ドイツ)
・米国立フェルミ加速器研究所(Fermilab/アメリカ)
・国立核物理研究所(INFN/イタリア)
・高エネルギー加速器研究機構(KEK/日本)
・スラック国立加速器研究所(SLAC/アメリカ)
・SUPL(オーストラリア)
・TRIUMF研究所(TRIUMF/ カナダ バンクーバー)

詳しいことは、KEKのGlobal Physics Photo Walkのページに書かれている。
参加者の作品はINTERACTIONS.ORGのWEBサイトに公開し、全世界からの一般投票によってグランプリを決定するとあるが、グランプリになるとどうなるのだろう。8箇所の中から希望の加速器施設への航空券付きのご招待ツアープレゼントだったらいいなぁ。まぁ、応募作品の入賞はともかくとして、撮影のために10:30〜16:00の間、加速器をたっぷり見学できるだけでも十分羨ましい。
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ダークマターはクォーク+反クォーク!?
2015-08-05 Wed 00:00
1507312.jpg・新理論が示す、ダークマターは湯川粒子に瓜二つ
ダークマターはクォーク+反クォークで構成されているという新理論。そんな身近な構成粒子でいいの?と感じてしまう。何が新しいのかというと、このメタグルーオンとも言える接着粒子の存在ってことか?
[図は東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構HPより]
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「基本法則は単純ですが、世界は退屈ではない。」
2015-07-19 Sun 00:00
・大阪市立大学:南部 陽一郎 特別栄誉教授・名誉教授がご逝去されました

・大栗博司:南部陽一郎先生

南部陽一郎氏は2008年のノーベル賞受賞講演を「基本法則は単純ですが、世界は退屈ではない。なんと理想的な組み合わせではありませんか」という言葉で結んでいる。言っていることは単純だが、自発的対称性の破れのおかげで世界が今のように複雑・多様になってくれたおかげで、自分もその謎解きに没頭できて楽しいということを言われていたのだと思う。

7月5日、南部先生が94歳で亡くなられた。その業績を評価するのにノーベル賞ではあまりに物足りないが、それでも長生きされて受賞されたのはよかったと思う。

1309252.jpg『素粒子論の発展』もあのあと頓挫中。
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核融合燃料の加熱実験、1800万度へ到達
2015-05-10 Sun 00:00
・核融合燃料の加熱実験、太陽超す1800万度に成功!専門家「フルパワーで五千万度を近く実現したい」
 目標の5000万度までは遠いのか近いのかもよく分からない上に、実用化には10億度が必要とも聞く。おまけに温度目標が達成されればいいという話でもないらしい。プラズマの密度とか圧力とか継続時間とか同時に満たすべき厳しい条件がたくさんあるらしい。学生時代にトカマクの解説書を読んだことがあるが、あれからでもすでに40年、今だ道半ばとはあまりに時間がかかりすぎの感が拭えない。派生技術が社会に貢献していることを評価すべきなのかも?

 →Wiki:核融合炉
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運命を自分で決められることにはならないだろう
2015-04-13 Mon 00:00
・運命は自分で決められることが科学的に判明!アインシュタイン提唱理論、100年来の論争決着か!量子の非局所性の厳密検証に成功!
 量子もつれ、量子テレポーテーション、、、概念を理解するのが難しい領域。
 本文にある「あなたや私の選択や行動次第で、他の人や世界の行動なども変化する可能性があるということです。」はいいとして、タイトルの「運命は自分で決められることが科学的に判明!」は違うのではないか。自分の選択や行動で他の人や世界の行動なども変化する可能性があるからと言って、どのように変化させるかは決定できないはずだから、運命を自分で決められることにはならないだろう。
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初めて超弦理論の解説書を読んでみた
2015-02-27 Fri 00:00
1502031.jpg『大栗先生の 超弦理論入門』 大栗博司著
       ブルーバックスB1827 980円 2013年

内容について書く前にクイズを一つ。表紙を写した左の写真を見ていただきたい。長年ブルーバックスに馴れ親しんできたあなたならばお気づきだろうか。この表紙にはブルーバックス刊行50周年にして初の試みが施されている。正解は文末で。

第1章第2章は場の量子論における無限大の問題とくりこみによる解決とその限界について。
第3章は南部陽一郎と後藤鉄男が提案した弦理論は、後に重力を含む理論であることが分かったこと。そして、弦理論と超弦理論との違いは後者が超空間を導入したこと。
第4章は超弦理論が9次元空間しか許さないことを導く。そこで使われるオイラーの公式は驚愕ものだ。正の無限大の向こう側には負に落ち込む奈落が口を開けているとでも言うのか?
第5章では金融市場を例にしてゲージ原理が説明されるがどうもピンとこない。
第6章超弦理論にはI型とII型が存在しどちらにも欠陥があったが、1984年、シュワルツが32次元回転対称性を導入しI型理論の欠陥を解消したのが第1次超弦理論革命。続いてヘテロティック弦理論、カラビ-ヤウ空間の導入で超弦理論は爆発的に発展した。そろそろ着いて行けなくなりそう。
第7章は超弦理論の計算技術に関わる著者大栗氏の業績「トポロジカルな弦理論」の紹介など。
第8章1995年は第2次超弦理論革命の年。それまでに知られていた超弦理論は、I型、IIA型、IIB型、2種類のヘテロティック弦理論の合計5種類。ウィッテンは別物と思われていた5種類の超弦理論は双対性のウェブで結びつき実は1種類の超弦理論であることを見つけた。10次元時空のIIA型超弦理論が11次元時空の超重力理論になって、複雑極まりなかった超弦理論がシンプルな超重力理論になっていたというが、ほとんど着いて行けてない。
第9章になると、11次元時空の超重力理論には1次元の弦ではなく2次元の膜と5次元の物体が現れて、D-ブレーンとそれに張り付く開いた弦とかが出てきて、それがブラックホールの事象の地平線を表しているらしい。さらに、空間も幻想でより基本的なものから現れることは確かだとも。ちょっと分かるような、でもほとんど分からない内容が続く。
第10章宇宙の始まりを研究するのは時間とは何かを理解することにつながる。

ヒッグス粒子については本筋から外れるということでコラムになっているが、その最後の部分に「2012年に発表された、このヒッグス粒子の発見が重要だったのは、ゲージ原理と対称性の自発的破れが素粒子の世界の法則を支配しているというアイディアが、半世紀を経て、ついに実験で検証されたからです」とある。ヒッグス粒子でのノーベル賞を見ていると、「自発的対称性の破れ」という宇宙の基本原理の発見でノーベル賞を与えられてしまった南部陽一郎は、細々したノーベル賞の10個くらいは貰い損ねたのだろうなと思わずにはいられない。

以前読んだ大栗氏の『強い力と弱い力』は続けて2度読んでしまうほどの面白さと分かりやすさだったが、本書は続けて2度読み返さないととてもじゃないが理解できない難解さだ。でも、全く初めての世界についての解説書としては良くできているというおぼろげな感想は持った。

で、表紙のクイズの答えだが、ブルーバックス刊行50周年にして初の縦組みタイトルだそうだ。
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宇宙線を使う原子炉透視撮影
2015-02-13 Fri 00:00
1502121.jpg・福島第1原発で溶け落ちた燃料を宇宙線使い透視する装置設置へ(15/02/10)

 →・KEK:宇宙線ミュオンを用いた原子炉の調査
   2014年1月23日にプレリリースされたこの技術を使うようだ。

1502122.jpg格納容器も突き破って溶け落ちている場合にはこの装置に写らないだろう。

1502123.jpgその場合、次の手としては測定器を地下に設置することになる。

1502124.jpgそれでも映らなかったら、、、地球の裏側から飛んでくるニュートリノを使った透視技術が開発されるまで待つ?

職場の友達に、今回の測定で核燃料が見つからないとなると格納容器内には残っていないことになるから深刻さがはっきりするのではないか、と言ったら、世間の人は核燃料は無いことが分かって安心するんじゃないの、となかなか核心をついた答えが返ってきた。

[2〜4枚目の画像はYouTubeキャプチャ画像に変更を加えた]
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『量子力学と私』
2015-01-31 Sat 00:00
1501301.jpg『量子力学と私』 朝永振一郎著 江沢洋編
     岩波文庫緑152-1 岩波書店 900円 1997年

「自由空間において光の速度は一定でないことが、初めて証明される」というニュースを目にし、一つ一つの顔を見分けられないはずの光子の速度の違いをどうやって計るのか不思議に感じた。それへの直接の回答になるとは思わないが、朝永先生の「光子の裁判」を久しぶりに読みたくなり、それが収録されている本書を雨夜の読書のお供にして布団に入ることにした。
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自由空間における光の速度は一定でないことを初めて証明
2015-01-29 Thu 05:00
・自由空間において光の速度は一定でないことが、初めて証明される
 「自転車レースの集団と同様、全体としては光速で移動しているが、「選手」にあたる個々の光子の速度はそれぞれ異なるわけだ。」ってことは、一個一個の光子を取り出して、お前は光速以下光子、お前は超高速光子って名札をつけられるってことか?そうであるならば減速した光子が見つかったことよりも、その相棒である超高速光子の存在の方が遥かに興味深いのではないだろうか。朝永先生の「光子の裁判」を久しぶりに読みたくなった。
 いずれにしろ新発見なので、どこかの分子生物学業界だとバッシングを受けてボコボコにされそうだが、物理学業界は大丈夫だろう。
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全世界に散らばるスマホで超高エネルギー宇宙線を検出するというアイデア
2014-10-18 Sat 00:27
・スマホで超高エネルギー宇宙線を検出する、というアイデアに関する論文
 iPhoneやスマホの内蔵カメラをそのまま使う放射線測定用アプリはいくつも出ているが、それを応用して全世界に散らばるカメラが超高エネルギーイベントを感知したらデータを自動送信するというアイデアらしい。SETI at Homeに似た発想のプロジェクトか。
 →Observing Ultra-High Energy Cosmic Rays with Smartphones
   元論文
 →CRAYFIS
   Android、iOS用のアプリ
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最高エネルギー宇宙線のホットスポットの兆候
2014-07-13 Sun 00:00
1407123.png・最高エネルギー宇宙線のホットスポットの兆候
・見えたぞ最高エネルギー宇宙線源の影
・宇宙線の“ホットスポット”を発見
・テレスコープアレイ実験
[写真提供:Telescope Array Project]

この測定に使われたテレスコープアレイは、宇宙線が大気の上層にある空気の分子と衝突した際に生じるかすかな閃光や“二次粒子”のシャワーを捕らえる観測装置と書かれている。1407121.pngそれって、学生だったころに乗鞍や明野の宇宙線観測所で展開していたアレイ実験の発展型だろうか。あのときは、捕らえた二次宇宙線の分布をフーリエ逆変換して崩壊前の一次宇宙線を推定しようといったことが試みられていた。1407122.pngあれから35年、今回の成果はもっと精度の良い装置と処理方法で宇宙線の飛来方向を直径40°の範囲まで絞れたということらしい。
[左右図:『Observations of as Cores at MT. Norikura by 54 M**2 Spark Chamber Array(1979)』より]

東大宇宙線研究所の記者会見のタイトルは「手がかり」とか「兆候」なのだが雑誌に載る頃には「発見」になっているのがいまどきらしい。
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南部陽一郎氏、2個目のノーベル賞受賞という感じ
2013-10-13 Sun 00:00
・「南部博士の影響大」ノーベル賞・ヒッグス博士

・ノーベル物理学賞にヒッグス氏ら
 南部陽一郎氏は大阪市大を通じてコメント。

・どこがスゴイか 南部陽一郎
 この筆者は「世界最高の南部さんには一人受賞がふさわしい」と書かれているが、私はさらに「3人受賞であれば1960年代以降5個以上受賞する権利がある」と思うのだが。
 →Wiki:ノーベル物理学賞

1310121.jpg今年のノーベル物理学賞は「欧州原子核研究機構(CERN)によって存在が確認された素粒子(ヒッグス粒子)に基づく、質量の起源を説明するメカニズムの理論的発見」の業績によって、アングレール氏とヒッグス氏の2名が受賞し、3つ目の席は空白だった。南部陽一郎氏がその3つ目の席を埋めていてもちっともおかしくなかったと思うのだが。
[写真は、ただいま読んでいる途中の南部陽一郎『素粒子論の発展』の口絵]
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ヒッグス粒子の存在確定
2013-10-06 Sun 00:00
ヒッグス粒子:存在確定 物理学の標準理論完成
 2012年7月4日、CERNはヒッグス粒子の存在が確実になったと発表した。そして明日2013年10月7日、『Physics Letters B』誌上でヒッグス粒子の発見が公表されるようだ。まどろこしい話だが、理論が予言するように、質量125.5GeVに加えスピン0も確認されたことでヒッグス粒子の存在が確定となり、同時に「標準理論」の完成ともなった。

10月8日にノーベル物理学賞が発表されるらしいが、さっそく「ヒッグス氏受賞に追い風」といったニュースの見出しが飛び交っている。

 →Wiki:ヒッグス粒子
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南部陽一郎『素粒子論の発展』
2013-09-29 Sun 00:05
1309252.jpg『素粒子論の発展』 南部陽一郎著 江沢洋編
            岩波書店 4725円 2009年

この前、結城市民情報センターへ行ったことを書いたが、この施設には天体ドームの他にもう一つすばらしい施設がある。そう、ゆうき図書館。詳しくはそのホームページをご覧いただくとして、天文や物理の棚を羨ましく眺めている時にこの本の前で足が止まった。本書は講演や解説記事を集めたもので、いわゆる論文集ではないとのことなので、私にもなんとか読めるかもしれないとさっそく購入。
読んで面白かったら後日再度話題に取り上げるが、難し過ぎた場合にはこのまま無かったことになる可能性もあり。
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『もっと知りたい!KEKB加速器』
2013-09-25 Wed 00:00
先日の高エネルギー加速器研究機構(KEK)一般公開の時に友人が撮影したKEKB加速器の写真についてS.Uさんからいただいた説明に「エネルギーは[衝突実験のための周回リングへ電子と陽電子を供給する入口である]入射路も周回リングも同じです。」「加速はしません。」と書かれていて「ええ?周回リングで加速してエネルギーを上げるのではないの?」とびっくり仰天。[ ]内はかすてんが補足。

そこで、2009年の一般公開日にいただいた『もっと知りたい!KEKB加速器』という冊子を読み直して納得。前段の線形加速器から射出された時点ですでに電子8GeV陽電子3.5GeVの衝突時エネルギーまで達していたんだ。かなり基本的な部分が理解できていなかったので、この機会に始めから読み直して復習しておいた。

1309182.jpgこの冊子『もっと知りたい!KEKB加速器』の最新版は改良中のsuperKEKB版になっているようなので、KEK広報室に問い合わせて国際リニアコライダー(ILC)の資料とともにさっそく郵送していただいた。
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