33年の時間を巻き戻し天文少年ならぬ天文壮年へ再入門。隊員1名、200mm、65mmの望遠鏡と双眼鏡で星空を楽しんでいます!
最高エネルギー宇宙線のホットスポットの兆候
2014-07-13 Sun 00:00
1407123.png・最高エネルギー宇宙線のホットスポットの兆候
・見えたぞ最高エネルギー宇宙線源の影
・宇宙線の“ホットスポット”を発見
・テレスコープアレイ実験
[写真提供:Telescope Array Project]

この測定に使われたテレスコープアレイは、宇宙線が大気の上層にある空気の分子と衝突した際に生じるかすかな閃光や“二次粒子”のシャワーを捕らえる観測装置と書かれている。1407121.pngそれって、学生だったころに乗鞍や明野の宇宙線観測所で展開していたアレイ実験の発展型だろうか。あのときは、捕らえた二次宇宙線の分布をフーリエ逆変換して崩壊前の一次宇宙線を推定しようといったことが試みられていた。1407122.pngあれから35年、今回の成果はもっと精度の良い装置と処理方法で宇宙線の飛来方向を直径40°の範囲まで絞れたということらしい。
[左右図:『Observations of as Cores at MT. Norikura by 54 M**2 Spark Chamber Array(1979)』より]

東大宇宙線研究所の記者会見のタイトルは「手がかり」とか「兆候」なのだが雑誌に載る頃には「発見」になっているのがいまどきらしい。
別窓 | 物理ネタ | コメント:10
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この記事のコメント
>テレスコープアレイ
 面白い研究紹介をありがとうございます。超高エネルギーでも、データを積み重ねてくると、ある所でホットスポットが出てくるのは面白いですね。比較的近くにたまたまホットスポットがあるのか、それとも遠くによほどの大物がいるのか、確率的にはどうなるか、考えてみるのも面白いと思います。

これは「アレイ」(明野のような)と「テレスコープ」(大気中の蛍光を見る)の両方を組み合わせているみたいですね。地上のカウンターだけで、どれほどの方向精度が出るものですか? 2つ以上の望遠鏡で大気中のシャワーの形が撮影出来たときは、(流星観測のように)そちらのほうが精度は高いと思います。
2014-07-13 Sun 09:46 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
>超高エネルギーでも、データを積み重ねてくると、ある所でホットスポットが出てくるのは面白いですね。

かつては宇宙空間の磁場(その他)の影響があるため発生方向は決められないみたいな話だったと思います。おっしゃるような比較的近い場合とか、遠くても超大物であるとかですと、方向性が見えやすくなるということなのでしょうかね。

>「アレイ」(明野のような)

本件のテレスコープアレイが稼働するまでは明野のアレイが最高性能だったみたいですが、近年の研究についてはまったくフォローしていません。

>「テレスコープ」(大気中の蛍光を見る)

空気シャワーの蛍光を捕らえられるなんて、羨ましい暗さなんでしょうね。
2014-07-18 Fri 08:17 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
>かつては宇宙空間の磁場(その他)の影響があるため発生方向は決められない

 そうでしたね。でも、10^19eV~10^20eVのエネルギーを境に磁場での曲がりの影響が小さくなり、元の方向がわかるということのようです。

http://www.icrr.u-tokyo.ac.jp/icrr-study/ebisuzaki.pdf

 しかし、10^20eVを超えると、今度は背景輻射光子と素粒子反応が起こり、陽子のエネルギーが失われると言われています。 例えば、p+γ → Δ(1232)^+ → p + π^0
(あるいは、n+π^+) このへんの観測は兆候はあるもののまだ確定していなかったと思います。

 また、ホットスポットは1次宇宙線が磁場で曲がらないガンマ線の可能性もあると思いますが、かつて明野であったこのへんの識別の議論はどうなっていますでしょうか。

>空気シャワーの蛍光を捕らえられるなんて、羨ましい暗さ
 天文屋はそう来ますね。

2014-07-18 Fri 22:03 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
>10^19eV~10^20eVのエネルギーを境に磁場での曲がりの影響が小さくなり、元の方向がわかるということのようです。

曲げられないためには、10^20eV以上のエネルギーを持っている事が重要なのですね。でもこのエネルギーになるとそこら中を飛び回っている背景輻射光子との相互作用が起きる確率が高くなると。これは方向に影響を与えるというよりも、観測できる粒子数を減らすという事でしょうか。

>かつて明野であったこのへんの識別の議論

そのころはきれいさっぱり別業界人になっていたと思います。
2014-07-19 Sat 09:39 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
>これは方向に影響を与えるというよりも、観測できる粒子数を減らす

そうですね。

p+γ → Δ(1232)^+ → p + π^0

の場合は、陽子と光子の重心系では大角度散乱が多いですが、超高エネルギー宇宙線の陽子の場合は、陽子の進行方向に強くブーストされて陽子の方向は維持されます。しかし、陽子のエネルギーの約半分がπ中間子に取られて陽子のエネルギーはほぼ半減します。ですから、高いエネルギーの成分だけが減るということになります。

 この種の解説とモデル計算と明野の観測がキッズサイエンティストに出ています。エネルギーの-3乗で真っ直ぐ落ちてきたエネルギー分布が10^20eVで下方にブレイクするようです。1998年の段階での明野の観測では、このブレイクは明瞭でないです。

http://kids.kek.jp/class/cosmos/class09-07.html
2014-07-19 Sat 16:16 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
おそるべし、キッズサイエンティスト!
2014-07-19 Sat 18:34 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
大抵の方には(私を含めて)キッズサイエンティストの説明で十分だと思われますが、さらに詳細の説明を見つけました。以下にありますのでご参照ください。また、新しい実験データを見つけられたらお教えください。

http://jemeuso.riken.jp/jp/about4.html

2014-07-19 Sat 19:46 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
>新しい実験データを見つけられたらお教えください。

宇宙線研究は素粒子物理学の歴史の中ではかなりクラシカルな分野ですし、戦後すぐに乗鞍で始まったこれまたクラシカルな実験分野という印象です。私はちょうど真ん中辺りの数年間だけ覗き見した程度ですが、この実験手法がいまだに物理学・天文学のフロンティアにいることに意外な驚きを感じて楽しんでいます。
2014-07-20 Sun 06:16 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
>この実験手法がいまだに物理学・天文学のフロンティア

 戦前から行われている霧箱や原子核乾板を使ったグラフィカルなデータ処理で、高エネルギー粒子を徹底的に分析する手法が、すでにそうとう先進的であったとも言えると思います。
 宇宙線観測の知識を日々アップデートしなくても、陽電子発見から現代のダークマターサーチまで同じ感覚でフォローできますよね。
2014-07-20 Sun 10:53 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
>戦前から行われている霧箱や原子核乾板を使ったグラフィカルなデータ処理で、高エネルギー粒子を徹底的に分析する手法が、すでにそうとう先進的であったとも言えると思います。

学生の頃は、「キャー原始的!」なんて思いましたが、時間を行き来しながら眺めると本質的で長持ちする技術だったのですね。

>宇宙線観測の知識を日々アップデートしなくても、陽電子発見から現代のダークマターサーチまで同じ感覚でフォローできますよね。

もっと勉強しておけば良かったですよ。
2014-07-20 Sun 11:34 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
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