2007年、33年の時間を巻き戻し天文少年ならぬ天文壮年へ再入門。隊員1名。その後の変化でただいま星空は休眠状態。郷土史、草刈り、読書、ドローンの記事が多くなっています。
反物質のことなど聞かれると嬉しくなったりなんかして
2009-05-11 Mon 00:28
0905102.jpg 職場の若者に「反物質って知ってます?」と聞かれた。テレビ番組中でCERNのLHC(大型陽子加速器)が紹介されたらしい。
 反物質から始まり、真空の意味、物質反物質の非対称性、CP対称性の破れ、小林益川理論、KEKのBファクトリーとノーベル賞、小柴昌俊とカミオカンデ、1987年の大マゼラン雲超新星爆発、戸塚洋二とスーパーカミオカンデ、ニュートリノ振動、J-PARC始動とT2K実験、LHC実験開始と事故、物質質量の起源、ヒッグス粒子、ブラックホール生成と社会問題、巨大物理学実験の社会的意味などなど20分ほどの間に一講義してしまった。
 「こういうことに興味を持つ人は少ないから話題を共有できなくてつまらないよ」と言ったら「知りたくても難しすぎて諦めてしまうのだと思いますよ」と言われた。確かにそうだ。ブルーバックス読んだって難しいものな。
[写真:ATLAS-Japan写真集ページより]

0905105.jpg0905104.png今夜の空:天気予報はすばらしい晴天なのだが、実際の空は薄曇りのため月はぼんやり見えても1等星は見えない。この空にこの予報はいかんでしょう。
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この記事のコメント
日曜夜のTBS「世界ふしぎ発見!」でしたでしょうか。それなら私も見ました。トム・ハンクス主演映画『天使と悪魔』にCERNの加速器で作られた反物質が登場することは以前から聞いていましたが、大まかなストーリーはこの番組をみてはじめて知りました。 反物質が娯楽映画に出てくるのは、テレビアニメ(『W3』や『ソラン』)でとうの昔に体験済みなので驚きませんが、17世紀の科学と宗教の対立が現代にまで残っているという発想には驚きました。

 テレビで、素粒子物理はとても難しいというような感想を述べるキャスターが多いですが、最先端の学問の難しさはどの分野も似たり寄ったりで、素粒子物理だけが特別に難しいわけではなく、実は日常からかけ離れているために特別に敷居が高く見えるだけではないかと思います(これは物理の教科書序文の受け売り)。でも、やっぱり最低20分の講義がどうしてもこの敷居を超えるのに必要なのですよねぇ。
 テレビではその時間が取れないのが問題。かすてんさんの講義をセットにして報道してもらえればいいのですが。
2009-05-11 Mon 07:07 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
その番組だったらしいです。彼の場合自分でハッブル望遠鏡の写真集を買ってきたりするくらいにサイエンスについての下地があるので20分の講義を聞いてくれましたが、たいていの場合は、、、。

>先端の学問の難しさはどの分野も似たり寄ったりで、素粒子物理だけが特別に難しいわけではなく、~
 かつて「相対性理論を理解できるのは世界に3人しかいない」などと実しやかに喧伝された時代とあまりかわらないようですね。
2009-05-11 Mon 19:50 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
>サイエンスについての下地があるので20分の講義を聞いてくれましたが、たいていの場合は、、、

 そうなんですよね。とくに興味のない人に新しいことを講義やビデオで説明する場合、集中して聞いてもらえるのは7分までだそうです。

宇宙のすべての物質現象を説明する物理学の窮極理論は、完成してしまえば簡単に理解できるようなものなのではないか、とひそかに期待しています。現在の素粒子物理が難解なのは、それがまだ未完成だからかもしれません。
 ちょうど、天動説であれほど説明に苦労した惑星の天球上での複雑な動きが、地動説と万有引力の法則でシンプルに説明できたように。
2009-05-12 Tue 20:00 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
現代の素粒子論は大筋で南部先生のアイディアに沿う形で展開してきたと言えますが、ここらで次世代の指導原理をドーンと提案してくれる第2の南部陽一郎が登場してくれないかなと思ったりします。
2009-05-12 Tue 20:52 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
次世代に向けてドーンと出た指導原理の候補と言えると思うのですが、News@KEK(2009.05.07)に

http://www.kek.jp/newskek/2009/mayjun/Nagakurasyou.html

最新の素粒子物理の理論が紹介されています。超弦理論とM理論というもので、「ひも」とか「膜」とかわかるようでわからない得体の知れないものですが、大きさも測れないほど小さい素粒子の時空間での自転(スピン)を本質的に取り込む超対称性理論と整合している、ということで現実味もあるように感じます。
 こういう理論もすべてが完成してしまえば、ずっとずーーっと簡単なものになるのでしょうか。
2009-05-14 Thu 20:41 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
ほう、グッドタイミングな話題ですね。内容は後ほど読ませてもらうとして、超弦理論もM理論もそんなに新し味は無いような気がしますが。
2009-05-14 Thu 23:01 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
>そんなに新し味は無いような気がしますが。

まあこれらの理論そのものはそんなに新しくはないんですが、専門家がよってたかって研究してもネタが尽きずに生き残って、多少古くなって味が出てきた頃が食べごろだと思いますよ。未完成の理論が何年も進歩を続けるというのはなかなかたいへんなことです。
2009-05-14 Thu 23:24 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
S.Uさん

>専門家がよってたかって研究してもネタが尽きずに生き残って、多少古くなって味が出てきた頃が食べごろだと思いますよ。未完成の理論が何年も進歩を続けるというのはなかなかたいへんなことです。

 これは確かにその通りです。S.Uさんにご紹介いただいたKEKの解説ページを読んでみました。とは言っても「日本語として読めた」というだけでちっとも分かりません。ぼちぼち勉強します。これからの素粒子物理学はこんな11次元の話題が日常的に飛び交うのでしょうね。昨年、LHCや小林益川理論が話題になったときに復習をしておいて良かったです。丁度その時期にS.Uさんとお知り合いになれたのもジャストオンタイムでしたし。しかし、こんなに分からないことばかりでは人生に退屈している暇がありません。
2009-05-15 Fri 20:36 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
そこまでおっしゃって下さるとは有難過ぎです。
わたしもぼちぼち勉強します。せっかく勉強した理論がポシャるとくやしいので、広く浅くがよいかもしれません。
2009-05-15 Fri 22:18 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
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